無節操一代女のつれづれなる萌ブログ
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
そろそろ終ります。
タイトルが見つかりません。
よろしければ、どなたかタイトル考えてやって下さいましorz
タイトルが見つかりません。
よろしければ、どなたかタイトル考えてやって下さいましorz
一瞬目を点にした後、不知火はゆっくりと鳥肌を立てた。
「お前…まさか」
後退ろうとする不知火とは対照的に、三太郎はあっさりと答えた。
「あ、そこは安心しろ。はっきり言ってお前、おれの好みじゃない。てか、真逆」
「は?」
「人間的には嫌いじゃないけどな。恋に落ちるにゃ、ハードル高すぎらあ。越える気にもならんが」
限界まで引き絞られていた毛穴が一気にゆるむ。ホッとしつつも、心の隅の方で少しだけムカッとした自分に気づき、不知火は内心でわずかに焦った。
その焦りを蹴散らすように不知火は口を開く。
「…じゃあ一体なんなんだ?おれにはちっともわからん」
「それは、さっき言ったろ」
「さっき?」
「寂しい時は人肌恋しくなるもんだ、てな」
あ、と不知火は先程の会話を思い出した。
「お互いに縋れる温もりが欲しかった…くせえ台詞だけど、とどのつまりはそこだろ」
「お互いに…だと?」
不知火の眉がかすかに険しく歪む。
「土井垣さんと何があったかは知ってるよ。全部お前が詳しーく教えてくれたからな。そんで、おれも気持ち分からないでもねえ、っていうか、聞いたからにゃほっとくのもアレかなーと思ったというか…」
不知火の頬がさっと赤らむ。
「な、何だそれは?」
「だからさ。お前さんも今夜は一人寝するにゃ寂しかろーと…」
「ふざけるなああああ!!!」
今度という今度こそ殴り飛ばしてやりたい衝動を抑えることができなかった。左手で思い切り三太郎の胸倉を掴み上げると、不知火は右の拳をぎゅううっと握り締めた。
「お前という奴は、人をどこまでコケにすりゃ気が済むんだ?寂しいだと?そんな事、お前にいちいち気にしてもらう事じゃない!」
「おい、ちょっと待てって」
この期に及んでも呑気な口調を変えないニヤケ面を思い切り殴ってやろうと不知火は拳を振り上げかけた。だが、三太郎は意外にもよけるどころかお返しのように不知火の襟元を掴むと自分から顔を引き寄せた。
「な…?」
予想外の行動に、不知火が一瞬怯む。その耳元に、低く三太郎が囁いた。
「殴りたいんなら殴りゃいいけどな。ここじゃやめとけ。皆見てる」
ハッとなり不知火が見渡すと、三太郎の言うとおり、店員やら客やらが何事かとこちらを注視している。確かに、ここで揉め事を起こすのは後々面倒がありすぎるだろう。苦虫を噛み潰すような顔で、不知火は渋々と三太郎から手を離した。
「…とりあえず、出るか。ちょっくら長居しすぎたしな」
襟元を正しながら三太郎が言った。無言のまま不知火は席を立つ。店のドアをくぐり抜けるまで、店内の人間達の視線が背中に痛かった。
外に出ると、正午を過ぎた太陽が既にオレンジ色になりかけている。不毛すぎた一連の会話を思い出し、不知火はぐったりした気分になった。
色々と堂々巡りを繰り返したような気もするが、結局のところは三太郎に借りを作ってしまった事には変わりない。自分としたことが、何という失態だろう。この得もいわれぬ屈辱感は、そうそう簡単に拭えるものではない。全ての手の内をこの男に晒してしまった。一方の三太郎の手の内は、何一つ見せてもらってはいないというのに。
不公平だ。これでは、余りにも不公平だ。
そこまで考えてから、不知火は気づいた。三太郎もまた「寂しかった」と言ったのだ。その原因が一体何なのか、まだ何も語られてはいない。
「なあ、三太郎」
「あん?」
欠伸をしながら三太郎が振り向いた。強い西日のせいか、陰影が濃く落ちた面差しが、ほんの少しだけ老け込んだように見え、何となく次の言葉を言い出しづらくさせる。
「…お前は…」
「何よ?」
そんな不知火の様子には気づかないのか、三太郎はきょとんとした表情だった。
不知火は躊躇していた。確かに、このままでは釣り合いが取れない。一方的に自分の弱みを三太郎に握られた状態のままで、不公平には違いない。
だが、何もかもを二人で共有してしまう必要があるのだろうか。ここで三太郎の手の内を掴んでしまえば、二人の間に今まで以上の、他の人間の踏み込めない絶対領域が生まれてしまい、半ば共犯関係に近いような絆が生まれてしまうのではないか。
そこまでの関係を、自分も三太郎も望んではいない。少なくとも、自分はそうだ。
もしかしたら、三太郎もまたそれを望んでいないからこそ、あえて踏み込むことをやめ、二人の間のテリトリーを侵すまいとして、あそこまで一連の出来事を語ることを拒んでいたのではないだろうか。
だとしたら…だとしたら。
次の言葉を見つけられず、立ち止まってしまった不知火を、ただ黙って見つめていた三太郎が苦笑と共に呟いた。
「…気づいちゃったか?ホント、手のかかるボーヤだねえ」
「お前…まさか」
後退ろうとする不知火とは対照的に、三太郎はあっさりと答えた。
「あ、そこは安心しろ。はっきり言ってお前、おれの好みじゃない。てか、真逆」
「は?」
「人間的には嫌いじゃないけどな。恋に落ちるにゃ、ハードル高すぎらあ。越える気にもならんが」
限界まで引き絞られていた毛穴が一気にゆるむ。ホッとしつつも、心の隅の方で少しだけムカッとした自分に気づき、不知火は内心でわずかに焦った。
その焦りを蹴散らすように不知火は口を開く。
「…じゃあ一体なんなんだ?おれにはちっともわからん」
「それは、さっき言ったろ」
「さっき?」
「寂しい時は人肌恋しくなるもんだ、てな」
あ、と不知火は先程の会話を思い出した。
「お互いに縋れる温もりが欲しかった…くせえ台詞だけど、とどのつまりはそこだろ」
「お互いに…だと?」
不知火の眉がかすかに険しく歪む。
「土井垣さんと何があったかは知ってるよ。全部お前が詳しーく教えてくれたからな。そんで、おれも気持ち分からないでもねえ、っていうか、聞いたからにゃほっとくのもアレかなーと思ったというか…」
不知火の頬がさっと赤らむ。
「な、何だそれは?」
「だからさ。お前さんも今夜は一人寝するにゃ寂しかろーと…」
「ふざけるなああああ!!!」
今度という今度こそ殴り飛ばしてやりたい衝動を抑えることができなかった。左手で思い切り三太郎の胸倉を掴み上げると、不知火は右の拳をぎゅううっと握り締めた。
「お前という奴は、人をどこまでコケにすりゃ気が済むんだ?寂しいだと?そんな事、お前にいちいち気にしてもらう事じゃない!」
「おい、ちょっと待てって」
この期に及んでも呑気な口調を変えないニヤケ面を思い切り殴ってやろうと不知火は拳を振り上げかけた。だが、三太郎は意外にもよけるどころかお返しのように不知火の襟元を掴むと自分から顔を引き寄せた。
「な…?」
予想外の行動に、不知火が一瞬怯む。その耳元に、低く三太郎が囁いた。
「殴りたいんなら殴りゃいいけどな。ここじゃやめとけ。皆見てる」
ハッとなり不知火が見渡すと、三太郎の言うとおり、店員やら客やらが何事かとこちらを注視している。確かに、ここで揉め事を起こすのは後々面倒がありすぎるだろう。苦虫を噛み潰すような顔で、不知火は渋々と三太郎から手を離した。
「…とりあえず、出るか。ちょっくら長居しすぎたしな」
襟元を正しながら三太郎が言った。無言のまま不知火は席を立つ。店のドアをくぐり抜けるまで、店内の人間達の視線が背中に痛かった。
外に出ると、正午を過ぎた太陽が既にオレンジ色になりかけている。不毛すぎた一連の会話を思い出し、不知火はぐったりした気分になった。
色々と堂々巡りを繰り返したような気もするが、結局のところは三太郎に借りを作ってしまった事には変わりない。自分としたことが、何という失態だろう。この得もいわれぬ屈辱感は、そうそう簡単に拭えるものではない。全ての手の内をこの男に晒してしまった。一方の三太郎の手の内は、何一つ見せてもらってはいないというのに。
不公平だ。これでは、余りにも不公平だ。
そこまで考えてから、不知火は気づいた。三太郎もまた「寂しかった」と言ったのだ。その原因が一体何なのか、まだ何も語られてはいない。
「なあ、三太郎」
「あん?」
欠伸をしながら三太郎が振り向いた。強い西日のせいか、陰影が濃く落ちた面差しが、ほんの少しだけ老け込んだように見え、何となく次の言葉を言い出しづらくさせる。
「…お前は…」
「何よ?」
そんな不知火の様子には気づかないのか、三太郎はきょとんとした表情だった。
不知火は躊躇していた。確かに、このままでは釣り合いが取れない。一方的に自分の弱みを三太郎に握られた状態のままで、不公平には違いない。
だが、何もかもを二人で共有してしまう必要があるのだろうか。ここで三太郎の手の内を掴んでしまえば、二人の間に今まで以上の、他の人間の踏み込めない絶対領域が生まれてしまい、半ば共犯関係に近いような絆が生まれてしまうのではないか。
そこまでの関係を、自分も三太郎も望んではいない。少なくとも、自分はそうだ。
もしかしたら、三太郎もまたそれを望んでいないからこそ、あえて踏み込むことをやめ、二人の間のテリトリーを侵すまいとして、あそこまで一連の出来事を語ることを拒んでいたのではないだろうか。
だとしたら…だとしたら。
次の言葉を見つけられず、立ち止まってしまった不知火を、ただ黙って見つめていた三太郎が苦笑と共に呟いた。
「…気づいちゃったか?ホント、手のかかるボーヤだねえ」
PR
Comment
カレンダー
06 | 2025/07 | 08 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
最新記事
(01/05)
(07/30)
(07/28)
(04/28)
(01/07)
プロフィール
HN:
茶がゆ
性別:
非公開
自己紹介:
萌話中心のブログです。時々突発ネタなども。
ブログ内検索
最古記事
(11/18)
(11/18)
(11/18)
(11/18)
(11/18)
P R
カウンター
アクセス解析