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無節操一代女のつれづれなる萌ブログ
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さんしらの続きです。

「何をってか~?」
「何をにやけた顔しとるか!!」
あくまでもへらへらとした態度に、不知火の苛々は次第に高まっていく。とにかく素っ裸のままではいられないと、布団の周りにバラけていた自分の服を見つけ出し、不知火は素早く身に着けた。が、はたとある事に気がついて手を止めた。
「おい…おれの帽子はどこだ?」
見あたらないのだ。あんな、部屋のどこであれ見つけられるような自己主張の激しいあの帽子が。
「さあ?知らん」
「知らん、じゃない!探せ!」
そこが人の家だということを忘れたかのように、不知火はそこらじゅうをひっくり返す。だが、何故かどうしても見つけることができない。苛つきが徐々に焦りへと変わってゆく。
そんな不知火をぼーっと眺めながら、三太郎はふわふわと欠伸をした。
「まあまあ…てかあんまりバタバタすんなよ…ホコリがたつだろ」
その緊迫感の無さに、不知火は本気で三太郎の首を絞めたくなり、「この野郎」と飛び掛りかけた瞬間、三太郎の尻の下のあるものに気がつき、あまりの怒りに一瞬気を失いそうになった。
「き…貴様…それは…」
「ん?あ…」
不知火の視線に、三太郎はようやくそのものの存在に気づくと、それを下から引っ張り出した。
「いやー、わりいわりい。気がつかなかったよ」
三太郎はからからと笑うと、ぺしゃんこになった破れ庇帽子を不知火に渡そうとしたが、不知火は思い切りその手を引っぱたいた。
「『わりーわりー』じゃない!貴様、よりにもよって生ケツに敷きやがって!」
「気がつかなかったんだからしょうがねーだろ。ほら、これで形直ったから返してやる」
「いらんわ、そんな貴様の生ケツでほんのりぬくい、しかも臭そーなもん!」
不知火の怒りゲージは既にMAX状態だった。
思えば夕べから踏んだり蹴ったりだ。一世一代の告白(本人はそのつもりだったらしい)は見事にスルーされるわ、ヒゲ面のもさい男と裸で寝てるわ、お気に入りの帽子は潰されるわ。何かの祟りにでもあってしまったのだろうか、わからないがとにかくついてない。
ついてないといえば、居酒屋でも何かとついていなかったような気がする。うすらうすらと戻りつつ記憶が確かならば、揚げだし豆腐を頼んだはずが冷奴が出て くるし、森伊蔵の最後の一杯を隣のカップルに先越されるし(しかも残しやがった)、割り箸3回落としたし、ハエにはたかられるし…
思い出せば思い出すほど、不知火はずぶずぶと落ち込んでいく。もう怒る気力も無くし、ふらふらと部屋を出て行こうとすると、いきなり肩を叩かれて不知火はびくりとした。
振り返ると、既にいつの間にか着替えていた三太郎が立っていた。疲れ顔の不知火とは対照的な能天気な笑顔だった。
「腹へらね?」
「は・・・?」
「飯、食い行こうぜ」
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